
目次
土間コンクリートやモルタル下地に塗装・意匠仕上げを行う場合、施工前の下地処理としてレイタンス処理を適切に行えるかどうかが、仕上がりや耐久性を左右します。レイタンスを除去しないまま次の工程に進むと、塗膜の浮きや剥離といった不具合につながる可能性があります。
本記事では、レイタンスの発生メカニズムから処理が必要な理由、具体的な除去方法、適切な処理タイミングまでを整理します。ゼネコン・設計者の仕様検討、職人・施工者の実務判断の両方に役立つ内容としてまとめました。
この記事でわかること
- レイタンスの定義と発生する仕組み
- レイタンス処理が必要な理由と未処理による不具合
- コンクリートの硬化状態に応じたレイタンスの除去方法
- 乾燥・養生との違いと新設・既設コンクリートで確認すべき下地条件
レイタンス処理とは?

コンクリート・モルタルの下地処理を検討する際、最初に理解しておきたいのが「レイタンス」という言葉の意味です。ここでは定義と発生の仕組みを整理します。
レイタンスの定義とは
レイタンスとは、新設コンクリートの中に含まれるセメントの微粒子や骨材の微粒分が、水分とともにコンクリート上面に浮上して堆積した、多孔質で脆弱な泥膜層のことです。表面を指でこすると白っぽい粉が容易に剥がれ落ちる状態になっていることが多く、コンクリート本体と比べて強度が明らかに低い点が特徴です。
似た現象として「ブリーディング」がありますが、こちらは水分だけが表面に浮き出る現象を指し、微粒子が凝集して層を形成するレイタンスとは区別される概念です。現場では両者を混同した説明がされることもあるため、下地処理の担当者間で用語の認識をそろえておくと、施工手順の伝達がスムーズになります。
レイタンスが発生する仕組み
レイタンスは、コンクリートの打設後に水分が表面へ移動する過程で、セメントや骨材の微粒分などが表面付近に運ばれ、堆積することで形成されます。配合や施工条件、ブリーディングの程度などによって発生量は異なるため、打設後の表面状態を確認することが重要です。
レイタンスの発生程度は配合や施工条件などによって異なりますが、打ち継ぎや塗装など次の工程に影響する場合は、表面状態を確認して適切に除去する必要があります。打設面ごとにレイタンスの有無や程度を確認し、予定している仕上げや工法に応じて下地処理の方法を判断することが重要です。
レイタンス処理の定義とは
レイタンス処理とは、コンクリート表面に形成された脆弱なレイタンス層を除去し、打ち継ぎや塗装、仕上げ材の施工に適した健全な下地を整える作業です。レイタンスを残したまま次の工程に進むと、仕上げ材の付着性低下や塗膜の浮き・剥離などにつながる可能性があるため、施工前に適切に処理することが重要です。
処理方法はコンクリートの硬化状態によって異なります。硬化前には、コンクリートがまだ十分に硬化していない段階で、高圧水やブラシなどを用いて表面のレイタンスや脆弱部を除去する「グリーンカット」が行われます。硬化後には、研磨やブラストなどによってレイタンスを除去します。具体的な処理方法や適切なタイミングについては、後の見出しで詳しく解説します。
レイタンス処理が必要な理由

レイタンスをそのままにして塗装や仕上げ材の施工に進むと、どのような不具合が起こり得るのかを確認します。
レイタンスを残すと塗膜の浮きや剥離につながる
レイタンス層は脆弱であるため、これを残したまま塗装や打ち継ぎを行うと、健全なコンクリート面に仕上げ材や新しいコンクリートが十分に付着しない原因になります。塗装では塗膜の浮きや剥離、打ち継ぎでは新旧コンクリートの一体性や付着性に影響するおそれがあるため、用途に応じて適切に除去することが重要です。
塗装・仕上げ材の下地処理という観点でも同様で、レイタンスを含む下地の汚れを除去せずに塗装すると汚れが透けたり、塗料の浮きや剥離などの不具合が生じます。下地の状態は仕上がりの見え方だけでなく、塗膜が長期的に密着し続けられるかどうかにも直結する部分です。
仕上げ材を適切に付着させるには健全な下地が必要になる
仕上げ材を適切に付着させるためには、レイタンスや汚れなどの脆弱部を除去し、健全なコンクリート・モルタル下地を確保することが重要です。コンクリート・モルタルなどセメント系基材に塗料や表面強化剤を施工する場合は、使用する製品ごとに下地条件を確認する必要があります。
AFJ株式会社では、コンクリートやモルタル、ボードなどの無塗装のセメント系基材を対象とし、コンクリートは圧縮強度21N/mm²以上を推奨しています。また、表面のエフロレッセンス、レイタンス、セメントノロ、汚れは、ポリッシャーやサンドペーパーなどで除去するよう案内しています。ひび割れについても、塗装前に補修し、十分に乾燥させることが必要です。
こうした基準は製品ごとに異なる場合があるため、仕様検討の段階では、対象製品の施工要領書やFAQで下地条件を個別に確認しておくことが重要です。特に色や質感を意匠設計に組み込む場合は、下地の状態が仕上がりの見え方に直接影響するため、事前にサンプルで確認したうえで工程に反映すると判断がしやすくなります。
下地条件を軽視すると、仕上げ工程の途中でやり直しが発生し、工期・コストの両面で負担が大きくなります。設計段階でレイタンス処理を含む下地処理の範囲を工程表に明記し、施工者と仕様を共有しておくことが、手戻りを防ぐうえで実務上のポイントになります。AFJ株式会社ではサンプル・技術資料の請求に対応しており、下地条件と仕上がりのイメージを事前にすり合わせる際の材料として活用できます。
レイタンス処理の方法とは?
レイタンス処理の具体的な方法は、コンクリートが硬化する前か後かによって大きく異なります。それぞれの段階で用いられる代表的な方法を確認します。
硬化前はグリーンカットでレイタンスを除去する
レイタンスの除去方法は、コンクリートの硬化状態によって異なります。打ち継ぎ面では、コンクリートが十分に硬化する前の適切な時期に、高圧水やブラシなどを用いて表面のレイタンスや脆弱部を除去するグリーンカットが行われます。また、打継面処理剤などの凝結遅延剤を使用し、表面部分の硬化を遅らせたうえで洗い出す方法もあります。
硬化前の除去は、コンクリート構造体同士を打ち継ぐ場面を想定した方法として説明されることが多い点に注意が必要です。塗装・仕上げ材の下地として下地面を整える場合は、これから紹介する既設面向けの研磨処理と組み合わせて検討する必要があります。
硬化後は研磨やブラストなどでレイタンスを除去する
コンクリートの硬化が進んだ後は、水圧だけでレイタンスを除去することが難しくなるため、電動ハンマー等ではつる方法や、ブラスト噴射などの特殊機械で削り落とす方法が用いられます。塗装・仕上げ材の下地処理としては、ポリッシャーと呼ばれる電動研磨機やサンドペーパー等での研磨・清掃が一般的な方法として案内されています。研磨によって表面の脆弱な層を取り除き、健全なコンクリート素地を露出させることが、既設面での下地処理の基本的な考え方になります。
研磨の際は、レイタンスだけでなくエフロレッセンス(白華現象による析出物)やセメントノロ、油分・汚れなども合わせて除去する必要があります。これらが残った状態で塗装すると、塗料の付着不良や色むらの原因になるため、施工前の目視確認と研磨の仕上がりチェックを丁寧に行うことが実務上のポイントです。
研磨作業では、粉塵の発生量が多くなる場合があります。施工者の安全衛生の観点からは、集塵機能付きの研磨機を使用する、換気を確保する、防塵マスクを着用するといった対策をあわせて検討することが望ましいといえます。研磨範囲が広い現場では、作業時間や粉塵対策の段取りも工程計画に組み込んでおくと、当日の作業がスムーズに進みます。
レイタンス処理に適したタイミングとは?
レイタンス処理のタイミングは、除去作業そのものの適期と、塗装が可能になるまでの乾燥・養生期間を分けて考える必要があります。この2つを混同すると、工程計画にずれが生じやすくなります。
硬化前後で変わる除去作業の適期
レイタンス除去自体は、コンクリートが硬化する前、打設後1〜2日程度のタイミングで高圧洗浄等を行う方法が作業性がよく、費用も抑えやすいとされています。硬化が進みすぎると、水圧だけでは除去できなくなり、電動ハンマーやブラスト噴射といった別の工法が必要になります。
そのため、打ち継ぎを伴う工事など、レイタンス除去の時期を工程側でコントロールできる場合は、硬化が進む前の段階で処理を済ませておくと、後工程の作業負担を抑えやすくなります。一方、既に打設から時間が経過した既設のコンクリート面を対象とする場合は、研磨による除去が現実的な選択肢になります。
塗装前は乾燥・養生期間とは別にレイタンス処理を行う
塗装・仕上げ材を施工する場合、コンクリートの乾燥・養生期間を確保することと、レイタンスを除去することは別の工程として考える必要があります。乾燥・養生によってコンクリートの強度発現や含水率の低下を待っても、表面に残ったレイタンスが自然に除去されるわけではありません。
AFJ株式会社では、新設コンクリートは養生シートを敷かずに4週間以上、新設の厚付けモルタルは2週間以上乾燥させることを必要としています。ただし、ダストプルーフHARDとダストプルーフOAは例外で、打設翌日以降で浮き水がない状態であれば施工可能と案内しています。 サンプルの請求はこちら
乾燥・養生期間を確保したうえで、施工前には表面状態を確認し、レイタンスが残っている場合は適切に除去することが重要です。グリーンカットはコンクリートの硬化が進む前に行われる一方、硬化後の既設面では塗装前に研磨などで下地を整えます。工程表を作成する際は、乾燥・養生とレイタンス処理を別の項目として管理すると、施工時期の混同を防ぎやすくなります。
レイタンス処理と乾燥・養生の工程上の違いを整理すると、次のようになります。
| 工程 | 主な方法・判断 | ポイント |
|---|---|---|
| 硬化前(打設後1〜2日程度) | 高圧水やブラシ等によるグリーンカット | 配合や温度、硬化状態などを確認して処理時期を判断する |
| 硬化後・既設面のレイタンス処理 | ポリッシャーによる研磨、ブラスト、必要に応じたはつり等 | 仕上げ材や施工目的に応じて健全な下地が露出するまで処理する |
| 塗装までの乾燥・養生 | 製品ごとに定められた乾燥・養生条件を確認する | レイタンス処理とは別の工程として管理する |
新設・既設コンクリートで確認すべき下地条件

コンクリートが新設か既設かによって、施工前に確認すべき下地条件は異なります。ここでは、新設・既設それぞれで確認しておきたい条件と下地処理の考え方を整理します。
新設コンクリートで確認すべき下地条件
新設コンクリートにAFJ製品を施工する場合は、製品ごとの下地条件を事前に確認する必要があります。AFJ株式会社では、圧縮強度21N/mm²以上の普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートを推奨しており、離型剤や養生剤は塗料の付着不良につながるため使用しないよう案内しています。仕上げ材の選定だけでなく、打設段階から塗装を前提とした下地条件を共有しておくことが重要です。
製品によって、新設コンクリートに施工できる時期や必要な下地処理は異なります。例えばダストプルーフHARD・ダストプルーフOAは、AFJ株式会社の下地資料ではコンクリート打設翌日以降、浮き水がない状態で施工可能と案内されており、製品ページでも打設後1〜3日の新設コンクリートを対象とした施工方法が示されています。一方、打設から数週間以上経過したコンクリートでは、ポリッシャー等による研磨・清掃工程が示されています。施工時は表面状態を確認したうえで、対象製品の最新の施工要領書に従うことが重要です。
既設コンクリートで確認すべき下地条件
既設のコンクリート面を下地とする場合は、ポリッシャー等での研磨・清掃によってレイタンスやエフロレッセンス、セメントノロを除去したうえで、汚れや油染み、既存の床材を剥離した際の接着剤や糊跡が残っていないかを確認する必要があります。ひび割れや欠け穴がある場合は、施工前にセメント系の補修材で補修しておくことが求められます。
既存の塗膜が残っている床面をリニューアルする場合も、プライマーやシーラーで下地を整えるのではなく、既存塗膜を研磨等で除去し、健全なコンクリート・モルタル素地を露出させたうえで施工する考え方が基本になります。工場の生産ラインや倉庫の走行床など、防塵性や耐久性を重視する現場では表面強化剤が選択肢になり、商業施設や事務所など意匠性も求められる現場では、表面強化成分を持つ水性塗料が選択肢になります。用途や求める性能に応じて、どちらの系統を軸に検討するかを整理しておくと、下地処理の範囲や工程も判断しやすくなります。
既設面では、過去にワックスやCF・Pタイル等が施工されていた履歴があるかどうかも重要な確認事項です。剥離跡の接着剤や糊が残っていると、レイタンス除去とは別に追加の清掃・研磨が必要になる場合があります。改修工事では現況調査の段階でこうした履歴を把握し、必要な下地処理の範囲を事前に見積もっておくことが、工期やコストのぶれを抑えるうえで役立ちます。
色や質感を伴う仕上げを検討する場合は、下地の状態によって発色や光沢感の見え方が変わることもあるため、実際の下地に近い条件でサンプルを確認しておくと、仕様決定後の手戻りを防ぎやすくなります。AFJ株式会社ではサンプル・技術資料の請求に対応しており、下地条件と仕上がりを事前にすり合わせる材料として活用できます。
よくある質問
Q. レイタンスとブリーディングの違いは何ですか?
A. ブリーディングは水分だけがコンクリート表面に浮き出る現象を指します。レイタンスは、その水分とともにセメントの微粒子や骨材の微粒分が浮上・堆積してできる、多孔質で脆弱な泥膜層のことです。両者は関連しますが、指している現象自体は異なります。
Q. レイタンス処理をしないとどうなりますか?
A. レイタンス層は脆弱なため、除去せずに塗装や打ち継ぎを行うと、塗膜の付着不良や剥離、新旧コンクリートの付着性低下などにつながる可能性があります。塗料や表面強化剤を施工する場合は、使用する製品の施工要領に従ってレイタンスなどの脆弱部を適切に除去することが重要です。
Q. レイタンス処理はどのタイミングで行えばよいですか?
A. 硬化前であれば打設後1〜2日程度を目安に高圧洗浄等で行うグリーンカットが作業性の面で有利とされています。硬化が進んだ既設面では、ポリッシャー等での研磨によって除去する方法が一般的です。いずれのタイミングも、塗装可能になるまでの乾燥・養生期間とは別の工程として扱う必要があります。
Q. 新設コンクリートに塗装する場合、乾燥期間はどのくらい必要ですか?
A. 製品によって条件は異なります。AFJ株式会社の製品では、新設コンクリートは養生シートを敷かずに4週間以上、新設の厚付けモルタルは2週間以上の乾燥期間が必要とされています。一方でダストプルーフHARD・ダストプルーフOAは例外で、打設翌日以降、浮き水がない状態であれば施工可能とされています。対象製品の施工要領書で個別に確認することが重要です。
まとめ
レイタンスは、新設コンクリートの表面に生じる脆弱な層であり、塗装や仕上げ材の施工前には除去が必要です。除去せずに施工すると塗膜の付着不良や剥離につながる可能性があるため、硬化前のグリーンカットか硬化後の研磨処理かを状況に応じて選択します。
処理のタイミングを検討する際は、レイタンス除去という下地処理の作業自体と、塗装可能になるまでの乾燥・養生期間を分けて考えることが重要です。新設・既設のどちらを対象とするかで確認すべき下地条件も変わるため、対象製品の施工要領書で個別の基準を確認したうえで工程を組み立てる判断が求められます。
下地処理の範囲を仕様書や工程表に明記しておくことは、ゼネコン・設計者と施工者の認識合わせ、手戻り防止につながります。色や質感を伴う仕上げでは、実物のサンプルで事前に確認しておくと仕様検討がスムーズです。AFJ株式会社ではサンプルや技術資料の請求に対応しています。
この記事のまとめ
- ✓レイタンスは水分とともに浮上・堆積した脆弱な層である
- ✓除去せずに施工すると塗膜の付着不良や剥離につながる可能性がある
- ✓硬化前はグリーンカット、硬化後の既設面では研磨など、状態に応じて除去方法を選ぶ
- ✓レイタンス処理と乾燥・養生は別工程であり、新設・既設によって確認すべき下地条件も異なる


