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コンクリートの素材感を活かしつつ、色を加えて個性を演出できるカラークリア塗装。近年、住宅や店舗の内装、家具など、幅広い用途で注目されています。
コンクリート打ちっ放しの風合いはそのままに、好みの色で仕上げることで、空間の印象を大きく変えることが可能です。しかし、具体的にどのような塗装方法なのか、どんなメリット・デメリットがあるのか、詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、カラークリア塗装の基本から、コンクリートへの施工方法、色選びのポイントまで、詳しく解説していきます。
コンクリートの質感を活かす「カラークリア塗装」とは?
カラークリア塗装は、顔料を微細に含んだ「半透明の塗料」をコンクリート表面に塗布する塗装方法です。この塗装の最大の特長は、コンクリートが持つ独特の風合いや素材感を完全に覆い隠すことなく、その自然な色ムラを活かしながら、好みの色合いを付与できる点です。まるでコンクリートの肌に薄いヴェールをかけたかのような、上品な仕上がりを実現します。
美観の向上だけでなく、塗膜がコンクリートの吸水を防ぐことで、中性化やひび割れといった劣化要因から構造体を保護する役割も果たします。これにより、コンクリートの耐久性を向上させ、長期的な維持にも貢献します。一般的な「ベタ塗り塗装」のように素材感を消してしまうことなく、その魅力を保ちつつ意匠性を高めることができる、現代的な新しい選択肢と言えるでしょう。
塗りつぶし塗装やカラーコンクリートとの違い
コンクリートのカラークリア塗装は、一般的な塗りつぶし塗装やカラーコンクリートと比較して、根本的な違いがあります。
まず、通常の塗りつぶし塗装は、コンクリートの表面を塗料で完全に覆い隠すため、コンクリートが持つ独特の質感や風合いが失われます。一方、カラークリア塗装では半透明の塗料を用いるため、コンクリート本来の模様や自然な色ムラを活かしつつ、色味を加えることが可能です。
次に、カラーコンクリートは、コンクリートを製造(打設)する際に顔料を混ぜ込む工法であり、新設時にしか適用できないので、既存のコンクリートを後から着色したい場合には適しません。
これに対し、カラークリア塗装は、すでに施工されているコンクリートの上に塗布できるため、リフォームや改修時にも柔軟に対応できるのが大きな利点です。
工法やコストの観点では、カラークリア塗装はカラーコンクリートよりも手軽に導入でき、費用を抑えることも可能です。さらに、通常の塗りつぶし塗装とは異なり、コンクリート本来の素材感を保ちながら、より自然で洗練された仕上がりを実現できる優位性を持っています。
カラークリア塗装が適した場所・適さない場所
カラークリア塗装は、コンクリート打ち放しの内外壁、店舗の内装、アプローチなど、コンクリートの素材感を活かしつつ保護したい、意匠性を重視する場所に特に適しています。例えばコンクリート打ち放し仕上げの外壁に適用すれば、その独特の風合いを損なわずに美観と耐久性を両立でき、コンクリート本来の質感を保ちながら傷や汚れから守る効果が期待できます。
一方で、カラークリア塗装には不向きな場所もあります。下地の劣化が激しく、大きなひび割れや欠損、著しい汚れがある箇所への使用は避けるべきです。カラークリア塗料は下地の状態が透けて見えるため、これらの補修跡が目立ち、期待する美観を損なう可能性があります。また、強力な防水機能が最優先される屋上や、高い遮熱性が求められる場所などでは、専用の機能を持つ塗料の方が高い効果を発揮します。用途に応じて適切な塗料を選ぶことが重要です。
カラークリア塗装は「aqua color / アクアカラー」
コンクリートの質感を活かしたカラークリア塗装の代表的な製品の一つに、「aqua color / アクアカラー」があります。これは、浸透性コンクリート表層強化剤や水性コンクリートステイン塗料とも称される特殊な塗料です。一般的なペンキがコンクリート表面を膜で覆うのに対し、アクアカラーはコンクリートに薄い膜を重ねる様に半透明に塗装・改質する特徴を持っています。
アクアカラー for floor | 水性コンクリートステイン塗料(床用)
アクアカラー for wall | 水性コンクリートステイン塗料(壁用)
アクアカラーの主な特徴と効果は以下のとおりです。
- コンクリート表面に膜を形成する一般的なペンキと異なり、コンクリート半透明に着色・改質します。
- この特性により、コンクリート本来の自然な風合い、独特の色ムラ、質感を損なうことなく、美しい色味を付与できます。
- さらに、粉塵を抑制する保護機能も兼ね備え、中性化や劣化からコンクリートを保護する効果も期待できます。
アクアカラーは、美観と保護を両立させ、コンクリートの魅力を最大限に引き出す優れた選択肢と言えるでしょう。以降の項目では、アクアカラーがもたらす具体的なメリットや、美しい仕上がりを実現するための施工方法について詳しく解説します。
コンクリートの風合いを保ちつつ保護できる等アクアカラーのメリット
アクアカラーの最大のメリットは、コンクリート本来の風合いや質感を活かしたまま、美観を大きく向上できる点です。一般的な塗料のように表面を塗りつぶさず、半透明の塗料がコンクリート内部に浸透するため、素材が持つ自然な色ムラや質感を活かした深みのある仕上がりが実現します。重ね塗りによる濃淡表現や異なる色の組み合わせも可能で、高い意匠性を追求できます。
また、吸水防止効果も備えており、コンクリートの劣化要因である中性化やエフロレッセンス(白華現象)を抑制し、構造物の耐久性を高めます。粉塵抑制効果も期待でき、コンクリートの長期的な健全性維持に貢献します。
カラーバリエーションも豊富です。壁面用「aqua color for wall」と床面用「aqua color for floor」として、それぞれ20色が展開されています。グレイッシュブラウン、モスカーキ、ストーンブラックといった多彩な選択肢の中から、新築時の美しさを再現したり、既存の汚れやシミを目立たなくさせたりと、高い意匠性を実現します。さらに、コンクリート改質によるメンテナンス性向上も期待できるため、汚れの付着を防ぎ、美しい外観を長期間維持することが可能です。
アクアカラーの主なメリットは以下の通りです。
- コンクリート本来の風合いや質感を活かした美観の向上
- 粉塵抑制効果
- 豊富なカラーバリエーションと高い意匠性
- メンテナンス性向上による美観の長期維持
仕上がりを左右する下地処理(研磨掛け・補修)のやり方
アクアカラーの美しい仕上がりを実現するには、塗装前の「下地処理」が極めて重要な工程です。この下地処理の質が塗料の密着性や耐久性を大きく左右するため、丁寧な作業が不可欠です。下地処理を怠ると、塗料が早期に剥がれたり、仕上がりがまだらになったりする恐れがあるため、細心の注意を払う必要があります。
具体的な下地処理の手順は、まずコンクリート表面を「研磨掛け」で徹底的に清掃することから始まります。この工程の目的は、コンクリートに付着した泥汚れ、カビ、コケ、古い塗膜などをポリッシャーやサンドペーパーなどで除去することにあります。研磨掛けすることで表面の脆弱なコンクリート層を除去することもできるので、新設コンクリートでも、既設コンクリートでもしっかりと下地調整することが重要です。
次に、コンクリートの「補修」作業に進みます。ひび割れ(クラック)や欠損部分がある場合は、専用の補修材を使って表面を平滑にします。適切な補修材を用いて、これらの損傷箇所を修正します。ひび割れや欠け穴には、AFJの製品「クラックフィラー」や「ディボットパッチ」などが補修に適しています。
クラックフィラー | ひび割れ補修材(コンクリート・モルタル用 )
ディボットパッチ | 欠け穴補修材(コンクリート・モルタル用 )
まとめ:アクアカラーでコンクリートの魅力を最大限に引き出そう
これまでの記事で、コンクリートの質感を活かすカラークリア塗装の概念と、その代表的な製品である「アクアカラー」について詳しく解説してきました。カラークリア塗装は、コンクリート本来の風合いや自然な色ムラを覆い隠すことなく、美しい色合いを付与できる点が特長です。これにより、単なる着色とは異なり、コンクリートの素材感を活かした深みのある意匠性を実現できます。
アクアカラーは、コンクリートの持つ魅力を最大限に引き出しながら、保護機能も兼ね備えた優れた選択肢と言えます。コンクリートの美観維持やデザイン性の高い空間づくりをご検討中の方は、ぜひAFJに相談し、アクアカラーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。コンクリートの新たな可能性を発見し、理想の空間を実現するための一助となるでしょう。