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コンクリート塗装は、下地の状態次第で仕上がりや耐久性が大きく変わる仕上げ工事です。汚れの除去や乾燥が不十分な状態で塗装すると、塗料の剥離や色ムラなど施工不良につながる場合があります。
下地処理の工程を理解しておくことは、ゼネコンや設計事務所が仕様を検討する場合にも、施工者が現場で作業を進める場合にも重要です。新設のコンクリート土間に限らず、既存の床や壁をリフォームする場合にも、下地の状態を踏まえた判断が求められます。本記事では、下地処理の重要性、基本工程、状態別の対応、よくある失敗を解説します。
この記事でわかること
- 下地の汚れや乾燥状態が、コンクリート塗装の仕上がりと耐久性に影響する
- 下地処理は打設時の乾燥期間の確保、下地調整、清掃という工程で進める
- ひび割れや欠けなど下地の状態によって、必要な補修材や工程が異なる
- 汚れの除去や乾燥期間の不足は、施工不良につながりやすい
コンクリート塗装の下地処理を怠るとどのような施工不良が起こる?
コンクリート塗装において下地処理が大切なのは、下地の状態がそのまま仕上がりや塗膜の耐久性に影響するためです。下地処理にかかる手間や時間を惜しんだ結果、仕上げ後に不具合が判明し、手直しの工程が発生するケースも見られます。はじめに、下地処理を省略した場合に生じやすい施工不良を整理します。
汚れの残留が招く塗膜の剥離
コンクリートやモルタルの表面には、施工前の使用状況に応じてさまざまな汚れが残っている場合があります。AFJ株式会社の公式FAQでは、塗料、接着剤、離型剤、撥水剤、ワックス、油性ペン、木のアク、テープ類、テープ糊、プライマー、スミ、ガソリン、灯油、オイル、タイヤ痕、鉄錆、コケなど23項目の汚れを挙げ、除去せずに塗装すると汚れが透けたり、塗料の浮きや剥離などの不具合が生じるとしています。
離型剤や養生剤の残留も、塗料の付着不良の原因になるとされています。下地の清掃は、塗膜の付着不良を防ぐために欠かせない工程です。特に工場や倉庫のように長期間稼働してきた床では、油分や粉塵が広範囲に堆積している場合があり、目視だけでは付着物の種類や範囲を判断しにくいことがあります。
塗料や接着剤が付着した下地についても、AFJ公式FAQでは除去対象として挙げられています。仕様検討の段階で床の使用履歴を確認し、想定される汚れの種類をあらかじめ洗い出しておくと、清掃工程の計画が立てやすくなります。
下地に残りやすく、塗装前に除去が必要な汚れや付着物として、主に以下が挙げられます。
- 塗料、接着剤、離型剤、撥水剤などの残留物
- ワックス、油性ペン、テープ類、テープ糊
- ガソリン、灯油、オイルなどの油分
- 鉄錆、コケなどの汚れ
含水率が高い下地が招く付着不良
コンクリートやモルタルの乾燥が不十分な状態で塗装すると、塗料の発色不良や色ムラ、白華、付着不良につながる場合があります。特に薄塗りモルタルは吸水性が低下しやすく、こうした不具合が起こりやすい下地とされています。
一般的な水系塗料の施工要領書でも、下地の含水率10%以下、pH10以下を施工条件として求める例があり、含水・アルカリ度の管理はコンクリート塗装全般で重視されていることがわかります。ただし、具体的な基準値は製品によって異なるため、使用する塗料の仕様書で確認することが重要です。
含水率は、コンクリート表面を見ただけでは判断しにくい場合があります。梅雨時期や降雨後の屋外施工、地下や半地下など湿気がこもりやすい環境では、乾燥期間を計画どおり確保していても含水率が下がりきっていないことがあるため、施工前の状態確認を工程に組み込んでおきましょう。
強度不足の下地が招く剥離
下地の強度が不足している場合、塗装後に剥離や割れが生じるおそれがあります。AFJ公式FAQでは、コンクリートおよび厚付けモルタルの下地について圧縮強度21N/mm²以上を推奨しており、新設コンクリートは4週間以上、新設厚付けモルタルは2週間以上、養生シートを使用せずに十分乾燥させることを求めています。
強度や乾燥期間が不足した状態での施工は、見た目だけでなく塗膜の耐久性そのものに影響するため、事前の確認が欠かせません。特に薄塗りモルタルは、コンクリートに比べて強度や吸水性のばらつきが出やすい下地とされており、施工前の確認を丁寧に行う必要があります。
設計・仕様検討の段階では、下地となるコンクリートやモルタルの仕様、養生期間の計画をあらかじめ工程表に組み込んでおくことが、後工程での手戻りを防ぐことにつながります。
コンクリート塗装の下地処理はどのような工程で進めるか?
コンクリート塗装の下地処理では、まず打設後に必要な乾燥期間を確保し、その後にひび割れや欠け穴などの下地調整、表面の汚れや脆弱層を除去する清掃を行います。工程ごとに下地の状態を確認しながら進めることで、塗膜の付着不良や剥離などの施工不良を防ぎやすくなります。ここでは、コンクリート塗装における基本的な下地処理の流れを解説します。
打設後に乾燥期間を確保する
新設のコンクリートや厚付けモルタルは、打設後に十分な乾燥期間を確保してから次の工程に進むことが重要です。AFJ公式FAQでは、新設コンクリートは4週間以上、新設厚付けモルタルは2週間以上の乾燥期間を目安として示しており、養生シートを使用せずに十分乾燥させることを求めています。
乾燥が不十分な状態で塗装すると、発色不良や色ムラ、白華、付着不良などにつながる場合があります。気温や湿度、降雨などによって乾燥の進み方は変わるため、工程表を組む際は余裕を持った乾燥期間を確保し、必要に応じて含水状態も確認します。
ひび割れや欠け穴を補修して下地を整える
乾燥状態を確認した後は、ひび割れや欠け穴などを補修し、塗装に適した下地へ整えます。AFJ製品を用いる場合、床の0.2〜2.0mm幅のひび割れにはクラックフィラー、欠け穴にはディボットパッチなど、下地の状態に応じた補修材を使用します。
補修材は、対象となるひび割れや欠け穴の大きさ、施工部位などを確認したうえで選定することが重要です。貫通クラックや構造的なひび割れなど、補修材の適用範囲を超える場合は、補修材だけで対応せず、構造的な補強を含めて個別に検討する必要があります。
表面の汚れや脆弱層を除去して清掃する
下地調整後は、コンクリート表面に残る汚れや付着物、脆弱層などを除去します。AFJ公式FAQでは、コンクリートや厚付けモルタルの下地について、エフロレッセンス、レイタンス、セメントノロ、汚れなどをポリッシャーやサンドペーパーで除去するよう案内しています。
塗料や接着剤、離型剤、油分などが残っていると、塗膜の浮きや剥離などにつながる場合があります。研磨や清掃を行った後は、削り取った粉塵や粒子も十分に除去し、塗装できる状態に整えてから次の工程へ進みます。
コンクリート下地の状態に応じた処理方法とは?
コンクリートの下地は、ひび割れや含水率、強度など状態がさまざまであり、状態に応じた処理が必要です。同じ現場の中でも、部位によって劣化の進み方や含水状態が異なる場合があるため、一律の処理ではなく箇所ごとの見極めが求められます。ここでは、代表的な下地の状態別に必要な処理を整理します。
ひび割れがある下地の処理
床にひび割れがある場合、塗装前に補修材で処理する必要があります。AFJ製のクラックフィラーは、0.2から2.0mm幅のひび割れに対応した床用の補修材で、ひび割れ内のゴミを取り除いたうえで充填して補修します。
また、欠け穴がある場合には、ディボットパッチのような欠け穴補修材が用いられます。
貫通クラックや構造的なひび割れが見られる場合は、これらの補修材の適用範囲を超えるため、構造的な補強を個別に検討する必要があります。角部分の欠けなど、通常の充填では対応しにくい形状については、当て板や型枠を利用して形を整えながら補修する方法も案内されています。
補修材を選定する際は、床用か壁用か、対象とするひび割れや欠けの幅がどの範囲かを製品仕様で確認したうえで、現場の状態に合った材料を選ぶことが重要です。
含水率が高い下地の処理
含水率が高い下地への対応は、前述の「含水率が高い下地が招く付着不良」のとおり、十分な乾燥期間の確保が基本です。 新設のコンクリート土間や、リフォーム前の湿式工法による下地では、見た目には乾燥しているように見えても内部に水分が残っている場合があります。工期の都合で乾燥期間を十分に取れない場合は、含水率計などを用いた確認や、塗料メーカーへの事前相談を検討しましょう。
強度が不足する下地の処理
前述のとおり、コンクリートおよび厚付けモルタルの下地について圧縮強度21N/mm²以上を推奨されます。強度が不足している場合は、塗装後に剥離や割れが生じるおそれがあるため、塗装の可否そのものを判断する必要があります。
強度が不足していると判断される場合は、下地の補強や打ち直しなど、塗装以前の対応が必要になることもあります。設計段階から下地の強度条件を確認しておくことが、仕様検討における重要なポイントです。
既存の建物をリフォームする場合は、竣工時の設計強度だけでなく、経年による劣化や、これまでの使用状況による表層の脆弱化も踏まえて判断する必要があります。図面や過去の点検記録が残っている場合は、あわせて確認しておくと判断材料になります。
| 下地の状態 | 主な対応 | 関連する製品例 |
|---|---|---|
| 0.2〜2.0mm幅のひび割れ | ひび割れ部分を補修材で充填する | クラックフィラー |
| 欠けや穴 | 欠け穴補修材で充填し均す | ディボットパッチ |
| 含水率が高い新設コンクリート | 4週間以上の乾燥期間を確保する | 要個別確認 |
| 強度不足が疑われる下地 | 圧縮強度21N/mm²以上を目安に判断する | 要個別確認 |
コンクリート塗装の下地処理で施工不良を防ぐには?
汚れの除去漏れや乾燥期間の不足は、コンクリート塗装で特に起こりやすい失敗です。こうした失敗の多くは、工程を急いだり、現場条件の確認を省略したりすることが原因になっています。ここでは、代表的な失敗のパターンと防止のための確認ポイントを解説します。
汚れの除去漏れによる失敗
下地処理でよくある失敗の一つが、汚れや付着物の除去漏れです。前述の23項目の汚れ(塗料、接着剤、離型剤など)が付着した場合は、塗装前に必ず除去する必要があります。
業界のコラムなどでは、洗浄不足による劣化塗膜、苔、カビ、錆の残存、工場等での油分や粉塵の残留が、プライマーや塗料の密着不良を招く要因として指摘されています。目視での確認だけでなく、施工前のチェックを習慣化することが重要です。
特に稼働中の工場や駐車場では、車両の出入りによるタイヤ痕や、油圧機器からのオイルの飛散などが日常的に生じやすく、竣工図面だけでは把握しきれない汚れが残っている場合があります。現場担当者へのヒアリングを事前に行い、想定される汚れの種類を洗い出しておくことが、除去漏れの防止につながります。
乾燥期間の不足による失敗
乾燥期間の不足も、コンクリート塗装でよくある失敗の一つです。AFJ公式FAQでは、新設コンクリートは4週間以上、新設厚付けモルタルは2週間以上の乾燥期間を目安としており、この期間に満たない状態での施工は付着不良や剥離につながる要因になり得ます。
AFJ公式FAQで示されている乾燥期間を踏まえ、工程表を組む段階から十分な乾燥期間を確保しておくことが重要です。
工期の短縮を優先するあまり乾燥期間を切り詰めてしまうと、施工直後は問題が見えなくても、時間の経過とともに白華や剥離が現れることがあります。発注者や施工者の間で、乾燥期間を含めた工程全体をあらかじめ共有しておくことが、後工程でのトラブルを避けるうえで有効です。
失敗を防ぐための確認ポイント
施工不良を防ぐためには、下地処理の各工程を計画的に確認することが重要です。打設後の乾燥期間の確保、ひび割れや欠け穴の補修、汚れや付着物の除去といった工程を確認しながら進めることが、施工不良の防止につながります。
色や質感の仕上がりを事前に確認したい場合は、施工前にサンプルで質感を確認しておくと、仕様検討の段階で認識のずれを防ぎやすくなります。
よくある質問
Q. コンクリート・モルタル打設後はどのくらいの乾燥期間を見込めばよいですか?
A. AFJ公式FAQでは、新設コンクリートで4週間以上、新設厚付けモルタルで2週間以上の乾燥期間を目安としています。現場の気温や湿度によって変わる場合があるため、工程を計画する際は余裕を持たせることが望まれます。既存の下地をリフォームする場合も、表層の含水状態を確認したうえで、必要な乾燥期間を個別に判断することが重要です。
Q. 塗装前に下地の状態をどのように確認すればよいですか?
A. 汚れの有無、ひび割れや欠けの有無、含水率、強度などを目視や簡易な試験で確認します。判断が難しい場合は、使用する塗料メーカーに相談し、製品の技術資料を参照する方法が有効です。現場写真や図面をあらかじめ用意しておくと、相談時のやり取りがスムーズになります。
Q. 既存の塗装が残っている下地はどのように処理すればよいですか?
A. AFJの塗料を施工する場合は、基本的に既存塗膜を研磨するなどして除去したうえで施工します。既存塗膜の状態は現場ごとに異なるため、下地の状態を確認し、必要な処理を行ってから塗装することが重要です。
Q. 下地処理を省略するとどのような影響がありますか?
A. 汚れの透けや塗料の浮き、剥離、色ムラ、白華などの不具合につながるおそれがあります。下地処理を丁寧に行うことが、仕上がりと耐久性を左右する重要な工程です。
まとめ
コンクリート塗装の仕上がりと耐久性は、下地処理の丁寧さに大きく左右されます。打設時に必要な乾燥期間を確保したうえで、ひび割れや欠け穴などの下地調整、汚れや付着物の除去といった清掃を行うことが、施工不良を防ぐための基本です。
下地の状態は現場ごとに異なるため、ひび割れの幅や含水率、強度などを個別に確認したうえで、適した補修材や工程を選ぶことが重要です。特にゼネコンや設計事務所が仕様を検討する段階では、意匠性だけでなく下地条件を踏まえた製品選定を行うことで、施工段階での手戻りを減らしやすくなります。
AFJ株式会社では、色や質感を確認できるサンプルや技術資料を提供しています。仕様検討や施工計画の参考として、サンプルや技術資料をご活用ください。
この記事のまとめ
- ✓コンクリート塗装の仕上がりと耐久性は下地処理の丁寧さに左右される
- ✓下地の状態を個別に確認し、サンプル・技術資料を参考に仕様と工程を検討する
